大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)422 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人藤原万蔵の上告趣意は末尾添付の別紙記載の通りである。

第一点及び第二点に付いて

しかし犯罪事実の一部について本人の自白以外の証拠があり而て裁判所がその証

拠が自白の補強に充分であると認める場合にはたとえ他の部分について本人の自白

以外の証拠がない場合であつても刑訴応急措置法第十条第三項の唯一の証拠に該当

しないのである。原判決は判示第一の(一)及び(二)の証拠として、被告人の原

審公廷に於ける供述の外に、第一の(一)の事実に付いては証人Aの原審公廷に於

ける供述及びA作成名義の盗難被害始末書の被害顛末の記載第一の(二)の事実に

付いては証人Bの原審公廷に於ける供述及びB作成名義の昭和二十二年四月二十二

日附盗難被害始末書の被害顛末の記載を挙げていること判文上明らかであつて、之

等証拠は前記各犯罪事実に付いての被告人の自白を補強するものであること記録上

明瞭であるから、被告人に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合にはあたら

ないと云はねばならない。論旨は右法条に独自の解釈を施し原審の事実認定を非難

するものであつて上告適法の理由とならない。

第三点に付いて

しかし証人その他の者の供述を録取した書類は検事又は司法警察官の作成した聴

取書であつても、日本国憲法の施行に伴ふ刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第

十二条第一項により被告人側から特に喚問の請求がないときは、これらの者は公判

において証人として喚問しなくても右書類を証拠とすることができることは既に当

裁判所の判例とするところである。(昭和二十三年(れ)第一六七号食糧管理法違

反被告事件昭和二十三年七月十九日大法廷判決)所論の聴取書に付いては原審にお

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いて被告人側からその供述者又は作成者を証人として喚問する請求なく、且その証

拠調を経たものであること記録上明らかであつて、原判決が之を証拠に採用したこ

とに違法な点はない。論旨は理由がない。

裁判官栗山茂の第三点についての少数意見は前掲大法廷判例に掲げるところと同

一であるからこれを援用する。

よつて本件上告を棄却することとし、刑事訴訟法第四百四十六条に則り主文の通

り判決する。

この判決は裁判官栗山茂の少数意見を除いて裁判官全員の一致した意見である。

検察官 十蔵寺宗雄関与

昭和二三年九月二五日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

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